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翻訳書『実装研究のための統合フレームワーク―更新版CFIR―』

翻訳書『実装研究のための統合フレームワーク―更新版CFIR―』を発行しました。

2025年11月21日
保健医療福祉における普及と実装科学研究会(RADISH)

 保健医療福祉における普及と実装科学研究会(RADISH)は、この度、翻訳書『実装研究のための統合フレームワーク―更新版CFIR―』を発行し、公開しました。CFIR_Guidebook2025_top
本サイトの下部よりPDFファイルをダウンロードいただけます)

 CFIRは、Consolidated Framework for Implementation Researchの頭文字を取ったもので、Damschroderらによって2009年に発表されたものです。海外の多くの実装研究で使用されている中心的なフレームワークで、「介入の特性」「外的セッティング」「内的セッティング」「個人特性」「プロセス」の5領域からなり、我々がエビデンスに基づく介入を「現場に根付かせる」ために不可欠である文脈を理解することを手助けしてくれます。

 2009 年の初版公開以来、CFIR は多様な分野で活用されてきました。2022 年に公開された更新版では、主に下記の3点が更新され、より幅広い文脈に適用しやすくなりました。

 ●公平性や国際保健の視点を反映した新たな構成概念の追加
 (例:Ⅱ B 地域の態度、Ⅱ C 地域の条件、Ⅲ D 文化における下位概念の拡充)
 ●Ⅳ個人領域の大幅改訂(COM-B モデルに基づく行動変容要素の導入)
 ●受益者に焦点を当てた構成概念の追加  
 (例:Ⅴ実装プロセスのVB ニーズの評価およびVF エンゲージング)

 今回の更新版CFIRの翻訳では、まず専門業者に全訳を依頼し、その後、研究者が原文と照合しながら一文一文を校正しました。定義や説明文を正確に伝えるために、そして日本の研究や実務現場で違和感なく使える形に整えるこうした作業は、地道ながらも極めて重要な工程であったのではないかと思います。特に、インタビューやフォーカス・グループなどから得た質的データをCFIRの構成概念にコーディングする際には、本翻訳で示された定義を正しく理解し活用していただけるとうれしく思います。

【文献名】【PDFダウンロード】

島津太一(監修)、齋藤順子、小田原幸、奥山絢子(監訳)、『実装研究のための統合フレームワーク―更新版CFIR―』、保健医療福祉における普及と実装科学研究会、2025 [ISBN:978-4-9911886-4-0] ※紙の書籍は販売していません。

 本更新版CFIR 日本語版が、皆さまの現場や研究において頼れるパートナーとなり、わが国の実装科学の発展に貢献することを願っております。

 本書の翻訳および編集は、国立高度専門医療研究センター 医療研究連携推進本部 横断的事業推進費「実装科学推進基盤構築支援事業」(JH-事業02)(総括責任者 島津太一[2024年度~])による、健康格差是正のための実装科学ナショナルセンターコンソーシアム(N-EQUITY, National Center Consortium in Implementation Science for Health Equity)の依頼を受けて、RADISHにより行われました。